歯周病でもインプラント治療は受けられる?費用や注意点について解説

この記事の監修者
島田 健一郎
岐阜駅インプレ歯科
2024/9/30
2025/5/2
#インプラント

自分の歯のような噛み心地や美しい見た目から、人気のあるインプラント治療。
では、歯周病と診断されてもインプラント治療を受けることはできるのでしょうか。
結論からいうと、すぐにインプラント治療を受けることはできません。
ただし、適切な歯周病治療を受けたあとなら、インプラント治療を受けられる可能性が高いです。
本記事では、歯周病の人がインプラント治療を受けられない理由について、詳しく解説します。
歯周病を患っていて、インプラント治療を考えている方が不安を感じやすい「費用総額」についても解説しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事で、安心して治療を進めるためのポイントを知り、インプラントでいつまでも食事を楽しめるようにしましょう。
- 4.4セルフケアを徹底する
歯周病の人はインプラント治療を受けられない!その理由は?

冒頭で述べたとおり、残念ながら歯周病の人は適切な治療を受けずにインプラント治療を受けることは難しいです。
その理由は下記の通りです。
インプラント治療を受けるのが難しい理由
- インプラントを埋めるための骨が足りないため
- インプラント周囲炎にかかりやすいため
- インプラントが脱落してしまうため
それぞれ詳しく説明します。
インプラントを埋めるための骨が足りないため
歯周病の人がインプラント治療を受けられない理由の1つは、インプラントを埋めるための骨が足りないためです。
インプラント治療では、外科手術で顎骨に人工の歯根を埋め込み、その歯根を土台に人工歯を取り付けることで、噛む機能を取り戻します。
歯周病を患っていると骨の吸収が進んでいて、骨の厚さや量が不足している可能性が高く、そもそもインプラントを埋めることが難しいのです。
インプラント周囲炎にかかりやすいため
2つ目の理由は、インプラント周囲炎にかかりやすいためです。
インプラント周囲炎とは、インプラント周りの歯肉が歯周病の原因菌により炎症を起こしている状態のことを指します。
インプラントは天然歯とは異なり、歯根膜がないことから歯周病の原因菌に感染しやすくなっています。
加えて、歯周病を患っている方は、インプラント周囲炎の原因となる細菌が繁殖している状態であるため、一般の人よりもインプラント周囲炎にかかりやすくなってしまうでしょう。
インプラント周囲炎は他の歯にも悪影響を与えて、健康な天然歯を失ってしまうリスクがある恐ろしい病気です。
このような理由から、まずは適切な歯周病治療を受けるようにしましょう。
インプラントが脱落してしまうため
インプラントが脱落してしまうリスクが高いことも、歯周病の人がインプラント治療を受けられない理由の1つです。
2つ目の理由でご紹介した「インプラント周囲炎」が進行すると、歯周組織が破壊されてインプラントの脱落にも繋がってしまうのです。
せっかく高額な費用をかけて治療したインプラントが抜けてしまったら、もったいないですよね。
インプラントを長持ちさせるためにも、適切な歯周病治療を受けることが必要です。
歯周病治療後ならインプラント治療を受けられる

ここまでで「自分は歯周病だからインプラント治療を受けられない……」と、思う方もいらっしゃると思います。
しかし、適切な歯周病治療を受けたあとなら、インプラント治療を受けられる可能性が高いです。
そこで気になる「期間」や「どのくらいまで改善すればいいかの目安」についてご紹介します。
歯周病治療にはどのくらいの期間かかる?
以下では、進行度別に歯周病治療にかかる期間の目安についてご紹介します。
ご自身のおおよその進行度が確認できるように、症状についてもご紹介しておりますので、ぜひチェックしてみてください。
※正確な判断には歯科医師の診断が必要です。
中程度の歯周病
個人の状態によって異なりますが、中程度の歯周病の治療期間はおよそ「3ヶ月〜6ヶ月程度」です。
この状態では、歯周ポケットが4mm程度になり、歯肉の炎症が歯や歯肉の下にある骨にまで進んでいる可能性があります。
痛みはないことが多いですが、食べ物を噛むときに違和感が生じたり、歯茎が長くなったように感じたりすることが多いです。
重度の歯周病
重度の歯周病は歯周ポケットが6mm以上の状態で、治療期間は「6ヶ月〜1年以上」かかることが多いです。
歯周病が重度まで進行すると、歯槽骨が半分以上破壊され、歯が大きくグラグラしてくることがあります。
また、出血だけでなく膿が出たり、痛みがひどく食べ物を噛めなかったりするケースもあります。
どのくらいの症状まで改善すれば治療を受けられる?
最低でも歯周ポケットが「3〜4mm程度」まで改善しなければインプラント治療は受けられない可能性が高いです。
また「歯茎から膿が出ていていないか」も改善の目安の大切な要素です。
ただし、歯周病治療を受ければ必ずしもインプラント治療ができるというわけではなく、骨造成や歯肉移植といった追加の手術が必要な場合もあることを把握しておきましょう。
歯周病治療後にインプラント治療を受けた場合の費用総額は?

上記でご紹介したように、歯周病の人は歯周病治療とインプラント治療の両方が必要です。
一般の人がインプラント治療を受ける場合よりも費用が多くかかるため、費用総額について気になっている方も多いのではないでしょうか。
おおよその目安ですが、歯周病治療後にインプラント治療を受けた場合の費用総額は「50万〜100万円程度」といわれています。
以下で、費用の内訳についてご紹介します。
歯周病治療にかかる費用相場
<中程度の歯周病>
・保険診療(3割負担)で対応する場合は1万円〜5万円程度
・自由診療の場合は5万円〜50万円程度
<重度の歯周病>
・保険診療(3割負担)で対応する場合は、3万円〜10万円程度
・自由診療の場合は20万円以上
歯周病治療にかかる費用は進行度や歯科医院によって異なります。
また、保険診療か自費診療かによっても費用は大きく変わります。
自由診療は保険診療に比べて費用が高額になりますが、治療に使う材料や医療機器などに制限がなく、自分のお口の状態やニーズにあった治療を受けられる点が大きなメリットです。
インプラント治療の費用相場
インプラントの費用相場は1本25万円〜60万円程度です。
こちらも受ける歯科医院やインプラントの本数、種類などさまざまな要素によって、変化します。
また、骨を増やすための手術である「骨造成」が必要になるケースでは、さらに追加の費用がかかる可能性が高いです。
インプラントの詳しい費用については、下記の記事でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
インプラント治療の費用相場は?内訳や費用を左右する項目も解説
歯周病の人がインプラント治療を受ける際の注意点

歯周病でもインプラント治療は可能ですが、歯周病の既往歴がある人のほうが、インプラント周囲炎のリスクが高いことも事実です。
インプラント周囲炎を予防して、インプラントを長持ちさせるために、以下の注意点を把握しておきましょう。
歯周病の人がインプラント治療を受ける際の注意点
- 徹底した歯周病治療を受ける
- 歯周病の再発リスクを取り除く
- 治療後のメンテナンスを欠かさずに受ける
- セルフケアを徹底する
それぞれ詳しく解説します。
徹底した歯周病治療を受ける
「早くインプラント治療を受けたいのに!」と考える方が多いと思いますが、まずは徹底的に歯周病治療を受けることが最優先です。
適切な歯周病治療を受けないと、前述したようなインプラント周囲炎やインプラントの脱落リスクが高まるためです。
歯科医師の指示に従い、忘れずに通院しましょう。
また、歯科医師に教えてもらった歯磨き方法で、自宅でも丁寧にセルフケアをすることが大切です。
歯周病の再発リスクを取り除く
歯周病は再発しやすい病気です。
つまり、歯周病治療を受けたあとでも、生活習慣が改善できていなければ再発してしまう可能性が高いのです。
そのため、インプラント治療を受ける前には、再発リスクを取り除くことが求められます。
たとえば、睡眠不足や過度なストレス、栄養バランスの偏った食事などは体の免疫力を低下させて歯周病のリスクを高める要因となります。
一度ご自身の生活習慣を見直してみましょう。
治療後のメンテナンスを欠かさずに受ける
治療後のメンテナンスを欠かさず受けましょう。
インプラントの手術が成功してもメンテナンスを怠ると、再び歯周病やインプラント周囲炎を引き起こして、インプラントが脱落してしまう恐れがあります。
実際に、日本歯周病学会がおこなった調査によると、インプラント治療を受けた人の中で約9.7%の人がインプラント周囲炎になっていることがわかっています。
参照:歯周病患者における口腔インプラント治療指針およびエビデンス2018|日本歯周病学会
定期的なメンテナンスを受けることで、歯科医師にインプラントやお口の状態をチェックしてもらえ、異常がある場合でも早期に対処できるでしょう。
一般的には3ヶ月〜6ヶ月に1度のメンテナンスが推奨されていますが、患者様の状態によって適切な頻度は異なります。
メンテナンスの頻度は歯科医師から指示されるので、指示に従って忘れずに受診するようにしましょう。
セルフケアを徹底する
歯周病の人に限ったことではありませんが、特に歯周病の人は毎日のセルフケアを徹底することが大切です。
「人工歯になるからセルフケアは必要ないのでは?」と思うかもしれませんが、インプラントを埋め込んだ周りで細菌が繁殖して、インプラントが脱落してしまう恐れがあります。
前述したように、歯周病は再発しやすいことからも歯周病の人は特に徹底したセルフケアが必要なのです。
磨き方のポイントは、ペンを持つときのように歯ブラシを持ち、毛先を細かく動かして磨くことです。
歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシなどを併用することも大切になります。
セルフケア方法に不安がある方は、以下の記事でわかりやすく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
インプラント治療後の歯磨きの仕方や注意点!歯磨き粉の選び方も解説
歯周病でもインプラント治療を諦めないで!
今回は、歯周病でもインプラント治療を受けられるのか、について詳しく解説しました。
歯周病の人は以下の理由からインプラント治療を受けることは難しいです。
・インプラントを埋めるための骨が足りないため
・インプラント周囲炎にかかりやすいため
・インプラントが脱落してしまうため
ただし、適切な歯周病治療を受けたあとならインプラント治療を受けられる可能性が高いため、「歯周病だから……」といってインプラント治療を諦める必要はありません。
ご自身がインプラント治療を受けられるか知るために、一度歯科医院で相談してみましょう。
その際、インプラント治療だけでなく歯周病にも詳しい歯科医院を選ぶことが大切です。
当サイトではインプラント治療や歯周病治療に対応した歯科医院を紹介しています。複数の歯科医院を比較検討するために、ぜひご覧になってみてください。
この記事の監修者

島田 健一郎
経歴
1997年 愛知学院大学歯学部 卒業 大垣市なかの歯科勤務 2000年 みずほ通り歯科勤務 2009年 大手法人の名古屋分院院長 就任 2011年 同法人のエリア(東京・新宿・名古屋)統括院長就任 2016年 同法人の副理事長に就任 2017年 同法人の診療部長として後進スタッフの指導、育成も行う 全国分院のインプラント治療を担当(東京・新宿・池袋・名古屋・滋賀・京都) 2019年 拠点を名古屋に移し、名古屋、三重、池袋のクリニックでインプラント治療を担当 2023年 岐阜で「岐阜駅インプレ歯科」を新規開院
新着記事

おすすめしたい矯正歯科医院について

インプラント治療で歯がない期間は?対処法やよくある質問への回答も紹介

最少4本のインプラント治療「オールオン4」とは?費用や治療の流れも解説

インプラント治療を受けているとMRIは受けられない?安全性や注意点について解説!

インプラント治療は痛い?痛みの程度や対処法について解説
関連する記事

インプラント治療で歯がない期間は?対処法やよくある質問への回答も紹介

最少4本のインプラント治療「オールオン4」とは?費用や治療の流れも解説

インプラント治療を受けているとMRIは受けられない?安全性や注意点について解説!

インプラント治療は痛い?痛みの程度や対処法について解説

歯周病でもインプラント治療は受けられる?費用や注意点について解説

差し歯かインプラントどちらがおすすめ?違いや選び方をそれぞれ解説

20代でもインプラントはできる?メリットデメリット含め徹底解説

インプラントで口臭が発生するのはなぜ?原因と対処法を解説

インプラントとブリッジどっちにすべき?7つの違いについても解説

インプラント治療後の歯磨きの仕方や注意点!歯磨き粉の選び方も解説

【年収別】インプラントで医療費控除を使ったらいくら戻ってくる?申請方法も解説

全部の歯をインプラントにするデメリットは?メリットや治療法も併せて解説

インプラントを奥歯に2本入れる際の費用はいくら?費目ごとの金額も紹介

インプラントの寿命はいつ?長持ちさせる工夫や寿命が近い際の対処法も紹介

インプラント治療の費用相場は?内訳や費用を左右する項目も解説

インプラントとは?治療にかかる費用や他の治療法との違いも解説
コメント
当院はインプラント治療専門の歯科医院です。これまで大手歯科医院のインプラント担当医として、東京や名古屋などさまざまな医院でいくつもの症例に対応してきました。治療経験を活かし、これまでの天然歯と同じような噛み心地や審美性を取り戻せるよう尽力いたします。インプラント治療を検討されている方はお気軽にご相談ください。