マウスピース矯正の費用はどれくらい?相場や内訳を解説

この記事の監修者
小西 知恵
はぴねす歯科 石橋駅前クリニック
2021/11/25
2024/7/18
#マウスピース矯正

「マウスピース矯正にかかる費用の相場ってどれくらいだろう」
「保険とかって使えるのかな」
近年、注目を集めているマウスピース矯正。
矯正器具が透明で目立たず、取り外しもできるとあって、利用者も増加しています。
しかし、気になってはいるけれど、「マウスピース矯正は高そう」という漠然としたイメージで、矯正治療を始めるまで一歩踏み出せないでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、マウスピース矯正にかかる費用とその内訳について紐解いて解説していきます。
この記事を読めば、マウスピース矯正の費用について正しく理解し、「予想外」の出費に困らされることもなくなります。
マウスピース矯正を検討している方は、ぜひご覧ください。
マウスピース矯正にかかる費用の相場
マウスピース矯正にかかる費用は、「全体矯正」と「部分矯正」で異なります。
ここでは、「全体矯正」と「部分矯正」それぞれにかかる費用の相場を紹介していきます。
全体矯正
全体矯正にかかる費用の相場は、70~100万円です。
マウスピース矯正のブランドによっては、50万円台から始められる場合もありますが、適応できる症例が少なく、中等症以上には使えないという制限があります。
マウスピース矯正のなかでも適応症例が多く、さまざまなケースに対応できる、インビザラインを用いた場合は、上記のように70~100万円程度の費用がかかります。
部分矯正
部分矯正にかかる費用の相場は、20万~50万円です。
部分矯正は、歯列全体を覆って奥歯まで動かす全体矯正とは異なり、前歯を中心として歯を動かすため、費用はやや抑えることができます。
全体矯正のマウスピースは採った歯型をもとに、コンピュータで治療計画を設計し、それに基づいて、工場でマウスピースを製作することがほとんどです。
それに対して、部分矯正では、動かしたい歯にかぶせるマウスピースを手作業で製作するブランドもあり、海外への発注費などもかからず、安価に始めることができます。
上下6本などから矯正ができるので、どこまで矯正をするかで費用が変わってきます。
主要4ブランドの費用を比較
マウスピース矯正には、さまざまなブランドがあります。
今回は、日本でのマウスピース矯正でよく選ばれる、主要4ブランドの費用を比較していきます。
全体矯正料金 | 部分矯正料金 | |
---|---|---|
インビザライン | 70万~100万円 | 30万~50万円 |
クリアコレクト | 40万~90万円 | 15万~35万円 |
アソアライナー | - | 20万~50万円 |
アクアシステム | - | 10万~30万円 |
インビザライン
インビザラインは、全体矯正と部分矯正の両方に対応しています。
全体矯正にかかる費用は70~100万円で、部分矯正にかかる費用は30~50万円です。
治療開始時に歯型を採り、独自のソフトウェアが作り出す3D画像を用いて、矯正のシミュレーションをするのが特徴です。
シミュレーションで矯正計画を立てたら、マウスピースをアメリカの工場に発注します。
2021年現在、インビザラインは世界シェアNo.1のブランドで、日本でも多くのマウスピース矯正で活用されています。
マウスピース矯正を検討している方は、インビザラインに関する知識を深めておきましょう。
「歯並びでお悩みの方必見|今話題のインビザラインとは?」
クリアコレクト
クリアコレクトも、全体矯正と部分矯正の両方に対応しています。
全体矯正にかかる費用は40~90万円で、部分矯正にかかる費用は15~35万円です。
日本ではあまり知られていないものの、インビザラインに次ぐNo.2のシェアを誇ります。
インビザラインと比較すると適応症例が少ないですが、症状によってはインビザラインよりは費用を抑えることができます。
アソアライナー
アソアライナーは、前歯を中心とした軽度な部分矯正を対象としています。
かかる費用は、20~50万円です。
日本国内で製作されるマウスピースの代表的なブランドといえます。
インビザラインやクリアコレクトよりも、安価に矯正を始められますが、適応症例が限られるので注意が必要です。
アクアシステム
アクアシステムも、主に部分矯正が対象です。
かかる費用は、10~30万円です。
マウスピースは製作所に発注せず、手作業で製作されることもあり、費用を抑えて矯正ができます。
しかし、適応症例が限られており、「プチ矯正」向けのマウスピース矯正ブランドといえます。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の費用を比較
「マウスピース矯正は、ワイヤー矯正よりも高額である」と言われがちですが、実はそうではありません。
ワイヤー矯正には、ワイヤーを唇側の歯表面に装着する「表側矯正」と、目立たないようにワイヤーを舌側の歯表面に装着する「裏側矯正」があります。
表側矯正の費用は、60~100万円で、たしかにインビザラインやクリアコレクトよりも安く全体矯正が可能。
ただし、表側矯正の場合、ワイヤーとワイヤーを通す器具「ブラケット」が目立つというデメリットがあります。
そこで、目立たないワイヤー矯正として、検討されるのが裏側矯正ですが、オーダーメイドの器具と高度な技術を要するため、費用は100~150万円と高額です。
マウスピースで全体矯正をするときの費用相場は、70~100万円なので、目立たない矯正を探している方にとって、マウスピース矯正はベストな選択肢といえます。
マウスピース矯正にかかる費用の内訳
マウスピース矯正で費用がかかる場面は、マウスピースの製作だけではありません。
もちろんマウスピースの製作費用がメインになりますが、処置や検査など、さまざまな部分で避けては通れない費用がかかってきます。
あらかじめ「マウスピース矯正にかかる費用の内訳」を知っておくことで、矯正を開始してから、予想していなかった出費に驚かされることがなくなります。
矯正前 | カウンセリング(相談) | 0~1万円 |
検査 | 1万~6万5千円 | |
矯正中 | マウスピースの製作 | 60万~80万円 |
処置料(通院1回あたり) | 0~1万円 | |
保定期間 | 保定装置料(リテーナー) | 2千~5千円 |
処置料 | 0~5千円 |
矯正前
・カウンセリング(相談):0~1万円
カウンセリングとは、マウスピース矯正を検討している場合に、患者さんが歯に抱える悩みを相談したり、歯並びがマウスピース矯正の適応症例かを確認したりすることを言います。
マウスピース矯正の流れについての説明を受けるのも、このタイミングです。
カウンセリングにかかる費用は医院によって異なり、無料でカウンセリングを受け付けている医院も多くあります。
・検査:1万円~6万5千円
目視での歯並びの観察には限界があるため、CTスキャンやレントゲンを使って、現在の歯や骨格の状況を検査していきます。
また、歯型の採取もおこなわれるため、マウスピース矯正の計画を立てるうえで非常に重要な過程です。
費用に振れ幅があるのは、検査に用いる機械や歯型採取の有無によって、金額に差が発生することが理由。
矯正中
・マウスピースの製作:60~80万円
マウスピース矯正の内訳のなかでもっとも大きな割合を占めるのが、マウスピース本体の製作です。
マウスピースはオーダーメイドで、何十枚も作られるだけでなく、海外で製作されることが多いため、費用がやや高額になるのです。
例えば、インビザラインでは、採取した歯型と治療計画の情報をもとに、マウスピースを製作します。
マウスピースは2週間をめどに新しいものに交換され、治療完了までに50枚程度に必要になることが多いです。
約50枚のオーダーメイドマウスピースは、アメリカの工場で製作され、日本の患者さんへ届けられます。
0~1万円(通院1回あたり)
マウスピースで歯列を矯正している期間は、1~2ヶ月に1回は通院しなくてはいけません。
通院時には、治療計画どおりに矯正が進んでいるか、虫歯や歯周病などにかかっていないか、などを確認することがメインになります。
また、マウスピースのブランドによっては、通院ごとに歯型の採取をしてマウスピースを製作するものもあります。
保定期間
保定装置料(リテーナー):2~5万円
マウスピースを使って歯を動かしたあとは、「リテーナー」と呼ばれる装置を着用し、動かした歯の「後戻り」を防ぐ期間に入ります。
この期間を保定期間といい、歯を動かした期間と同じくらいの期間、リテーナーを装着する必要があります。
歯科医院やブランドによっては、リテーナーの製作費用がマウスピース製作費用に含まれていることもあります。
処置料:0~5千円(通院1回あたり)
保定期間も定期的に通院をしなくてはいけないため、医院での処置料がかかります。
保定期間の通院では、歯が順調に新しい位置に固定されてるか、口内環境の悪化が見られないか中心に診察をします。
マウスピース矯正にかかる費用の払い方
前の項では、「マウスピース矯正」と言っても、マウスピースの購入費用以外にも諸費用がかかることを解説しました。
実は、諸費用も含めてマウスピース矯正にかかる費用には、支払い方法が2通りあります。
それが、「総額制」と「処置別支払い制」です。
医院によって採用している支払い方が異なり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
マウスピース矯正を始める際には、歯科医院が採用している支払い方法を確認しておくことが重要です。
総額制
「トータルフィー制」とも呼ばれる支払い方法です。
治療を開始するときに、矯正完了までにかかる費用(検査費、マウスピース製作費、調整費、診察費、リテーナー製作費など)の総額を支払います。
メリットは、はじめですべての費用を支払ってしまうため、矯正を開始してから予想外の出費が発生することがないことです。
マウスピース矯正をしている間は定期的に通院が必要になりますが、頻度は進捗や痛みの発生によって人それぞれです。
歯が思ったように動かなくて、予想されていたよりも定期診察の回数が多くなってしまっても、追加費用を請求されることはありません。
やや複雑な症状では、他の症状と比べて治療期間が長くなり、それに合わせて通院回数が多くなってしまう場合があります。
保定期間を除く矯正期間だけで2年半かかる場合のように、治療期間長くなりそうなケースでは、総額制のほうが費用を抑えられることが考えられます。
矯正をお願いする医院の比較に役立つので、カウンセリングの段階で、医師に治療期間とかかる費用の予想を聞いておくようにしましょう。
定額制
また総額制に近い、「定額制」を採っている医院もあります。
定額制は、期間によって一定の金額を請求する方式です。
かかる期間に応じて費用を請求するため、通院ごとの追加出費はなく、一度にマウスピース矯正全行程の費用を支払う必要もないため、明瞭で一度の負担も少ない料金体系といえます。
しかし、支払いを終えた期間の途中で治療が完了した場合、日割りや返金の対応は医院によって異なるため注意が必要です。
処置別支払い制
「都度払い」とも呼ばれる支払い方法です。
最初で費用のすべて払ってしまうのではなく、検査料、マウスピース製作料、リテーナー製作料、処置料などのそれぞれの費用が発生するタイミングで支払いをします。
メリットは、矯正開始時に1回で払う金額を抑えられる点です。
定期通院による処置料や保定期間にかかる費用などを、はじめに払う必要はなく、最初の診察・検査料とマウスピース製作代を支払えば、矯正を始められます。
デメリットは、矯正が長引いた場合、かかる処置料がかさんでいく点です。
マウスピースの装着時間が不足により歯が計画どおりに動かなかったり、そもそも元の歯並びが悪かったりすると、矯正期間が延びてしまいます。
矯正期間が延びると、通院しなくてはいけない回数も増えてしまうため、毎回かかる処置料も、おのずとかさんでいきます。
複雑な歯並びを整えようとすると、矯正期間が長くなるケースが多いです。
処置別支払い制度の場合、最終的にかかる費用が不透明なことがネックですが、多くの医院ではある程度の予想金額を計算してくれます。
治療開始前に、延長する可能性や自分のケースの矯正難易度などを、医師に十分に確認することが大切です。
マウスピース矯正の費用について知っておきたいこと
マウスピース矯正にかかる費用を左右するのは、治療範囲とブランドがほとんどですが、その他にも費用について知っておきたいことがあります。
それは、健康保険や医療費控除、デンタルローンの利用についてです。
基本的に健康保険適用対象外
マウスピースによる歯科矯正は、基本的に健康保険が適用されません。
なぜなら、日本の健康保険制度が適用対象を「病気の治療」に限定しているからです。
日本の健康保険の考え方では、歯科矯正は「病気を治療するもの」ではなく、審美性を求める医療になるので、全額負担の自由診療になってしまいます。
しかし、以下のような一部の歯科矯正では、健康保険が適用されます。
- 噛み合わせの問題につながる唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)などの先天性の異常
- 顎の骨の外科手術を必要とする顎変形症(がくへんけいしょう)
- 生えてくるはずの永久歯が生えてこない永久歯萌出不全(えいきゅうしほうしゅつふぜん)によって、噛み合わせの異常がある場合
一部例外もありますが、ほとんどの場合においてマウスピース矯正は自由診療になることは覚えておきましょう。
治療内容によっては医療費控除の対象になる
健康保険と同様に、医療費控除はマウスピース矯正による審美矯正を制度対象外としていますが、症状によっては控除を受けられる場合があります。
医療費控除は、1月から12月の1年間で自分や家族に費やした医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%の金額)を超えると、確定申告によって、収めた税金の一部が還付される制度です。
国税庁は医療費控除の対象となる歯の治療について以下のように述べています。
発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。
(引用:国税庁)
つまり健康保険制度と同様で審美性を求める医療は、医療費控除の対象外となってしまうため、ほとんどケースでマウスピース矯正は控除を受けられません。
しかし、子供であれば骨格成長の阻害、大人であれば歯列による発音障害や咀嚼障害などの悪影響を及ぼしている歯列の矯正は、医療費控除の対象となる場合があります。
気になる方は、矯正開始前のカウンセリングで、自分の治療が医療費控除の対象になるかを医師に聞いてみましょう。
最終的には税務署の判断になるため、さらに判断材料が欲しい場合は、税務署に確認しなくてはいけません。
歯科医院によってはデンタルローンが利用できる
マウスピース矯正をする際に、歯科医院によっては「デンタルローン」が利用できます。
デンタルローンとは、医療ローンの一つで、歯科治療に特化した立替払い制度のことです。
マウスピース矯正は、基本的に健康保険適用外のため、どうしても費用が高額になってしまいます。
特に、総額制を採用している歯科医院では、一度に治療費の全額を支払わなくてはいけません。
まとまったお金を用意できるめどが立たず、矯正を諦めてしまう方も多いようです。
そこで、デンタルローンを利用すれば、妥協せずに歯科矯正を始められます。
「ローン」と聞くと、一度利用すると高金利返済に苦しむイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、デンタルローンの平均金利は3~8%で、一般的なカードローンの金利が15%程度であるのと比較すると、かなり低めに設定されています。
カードローンは、借り入れ額を増加する追加融資が可能なのに対して、デンタルローンは、追加融資が受けられないという制限は存在します。
ただし、矯正開始時には歯科医院から治療にかかる費用の見積もりが出るため、後から追加融資が必要になる可能性は低いでしょう。
デンタルローンの申し込み方法は、2パターンあります。
歯科医院を通して提携してい金融機関に申し込むことできますし、ネットで検索して自分で選んだ金融機関のデンタルローンに申し込むことも可能です。
マウスピース矯正は、治療を始める年齢が若ければ若いほど、長く理想の歯並びの恩恵を受けられます。
矯正をしたいタイミングを逃さないためにも、デンタルローンという選択肢を頭に置いておくといいでしょう。
まとめ
マウスピース矯正の費用はまず、全体矯正か部分矯正かで大きく異なります。
全体矯正であれば、費用の相場は70~100万円。
部分矯正であれば、費用の相場は20~50万円。
ワイヤー矯正と比較すると、表側矯正は、マウスピース矯正よりも費用を抑えることができますが、取り外しができない・目立つというデメリットがあります。
しかし目立たない矯正どうしの比較として、ワイヤーでの裏側矯正を比較すると、マウスピース矯正のほうが費用を抑えることができるので、マウスピース矯正が「高い」というのは、正しくありません。
また、マウスピース矯正については、歯科医院によって支払いの方法も異なるので、矯正開始前に確認しておくことが重要です。
審美性のための歯科矯正は、基本的に健康保険と医療費控除の対象外なので、費用を用意する際の援助としてデンタルローンが存在することも覚えておきましょう。
今回の記事で、費用については、大まかにでも理解してもらえたかと思います。
しかし、今回紹介したのは、あくまでも一般的な費用構造です。
費用の細かな部分は、患者さんの症状や医院、マウスピース矯正のブランドによって異なります。
自分のケースでどれくらいの費用がかかるか気になる方は、歯科医院でカウンセリングを受けてみましょう。
当サイトでは、マウスピース矯正が受けられるおすすめの医院を紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
この記事の監修者

小西 知恵
経歴
2003年 日本歯科大学歯学部卒業 2003年~2007年 東京医科歯科大学 摂食機能保存学勤務 2007年~2019年 東京、埼玉、大阪にて歯科医院勤務 2019年~はぴねす歯科 石橋駅前クリニック勤務 20207月~はぴねす歯科 川西能勢口駅前クリニック院長就任
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