現在の掲載医院数8,273


歯医者選びならMedee
>

マウスピース矯正に失敗はある?後悔しないためのコツを紹介

この記事の監修者

河村 喜英

公園通り歯科

作成日のアイコン

2021/11/25

最終更新日のアイコン

2024/7/18

#マウスピース矯正

コラムのサムネイル

「マウスピース矯正で失敗することはないのかな」

「失敗しないためにはどうすればいいんだろう」

「マウスピース矯正は虫歯が悪化しやすいのかな」

「マウスピース矯正をすると出っ歯になっちゃうなんてあるの」

近年人気が高まっているマウスピース矯正。

着脱可能で、目立たず、痛みも少ないとメリットの多い矯正方法です。

しかし、マウスピース矯正を調べていくと、「失敗する可能性がある」という情報を見かけて心配になっている方も多いようです。

結論から言うと、マウスピース矯正は失敗することがあります。

ただし、失敗の多くは未然に防ぐことが可能。

そこで今回は、マウスピース矯正の失敗例とそれぞれの原因を解説し、失敗しないための8つのコツを紹介していきます。

この記事を読めば、マウスピース矯正に失敗せず、理想の歯並びを手に入れる方法を知ることができます。

マウスピース矯正を検討しているあなたも必見です。

マウスピース矯正の失敗8例と原因

近年は、矯正治療の中でもマウスピース矯正が用いられるケースが増加していますが、中には失敗してしまう場合もあります。

まずは、マウスピース矯正の失敗のパターンとそれぞれの原因について解説していきます。

効果が感じられなかった

マウスピース矯正をしても「歯並びがきれいにならなかった」「噛み合わせが改善されなかった」など効果を感じられないのは、失敗と言えるでしょう。

効果を感じられなかった場合の多くは、装着時間の不足が原因です。

マウスピース矯正は1日あたり20時間以上の装着しなくていけません。

1日20時間以上装着することで、1週間に0.25mm、1か月で最大1mm程度歯を動かすことができます。

逆に、1日あたりの装着時間が20時間を下回ると、歯に十分な力がかからず、歯列が理想の位置へと整っていくこともありません。

マウスピース矯正で歯を動かしていくには、1日あたりのマウスピース装着時間が非常に重要です。

装着時間が不足すると、少しずつ歯が動いたとしても、矯正前の計画を大幅に遅延してしまいます。

マウスピース矯正を延長せずに、理想の歯並びを手に入れる方法については「マウスピース矯正の期間は長い?期間を延ばさない5つのコツ」もご覧ください。 

矯正後に歯並びが戻ってしまった

マウスピースを装着して、いったんは歯を理想の位置まで動かしたものの、その後に歯列が戻ってしまうケース。

多くの場合、原因は保定期間でリテーナーを適切に装着していないことにあります。

マウスピース矯正では、マウスピースによって力を加えて歯を動かす「矯正期間」を終えると、「保定期間」に入ります。

保定期間は、「動かした歯を固定するための期間」で、アライナーと似たマウスピース型の装置を着けなければいけません。

特に保定期間に入ったばかりのときは、新しい位置に動いた歯の根元が固まっておらず、元の位置に戻ろうとする力が強くはたらきます。

そのため、矯正期間にマウスピースを装着していたのと同じ時間、リテーナーを装着する必要があります。

つまり、1日あたり20時間以上リテーナーを装着しないと歯が新しい位置に固定されないのです。

歯が後戻りするとは言っても、すぐに歯列が矯正前の位置まで戻ってしまうというわけではありません。

しかし、保定期間にリテーナーの装着をサボると、一度は近づいた理想の歯並びから離れていってしまい、矯正は失敗に終わってしまうのです。

また、舌の動かし方や噛み方の癖、寝る時の姿勢によっても後戻りの可能性は高まります。

例えば、舌で歯を押す癖や片方で食べ物を噛む癖は、歯に継続的に力を加えることにります。

矯正前の歯列は、このような癖の影響を受けた結果ともいえるでしょう。

マウスピース矯正をしても、癖がなくならない限りは、矯正前と同様の歯列に近づいていってしまうのです。

矯正後に歯列が悪化した

理想の歯並びを手に入れるためにマウスピース矯正をしたのに、矯正後に歯列が悪化するのは、最悪の失敗ともいえます。

マウスピース矯正後に歯列が悪化する原因は、多くの場合、そもそも適応症例外の症状をマウスピース矯正で治療しようとしたことにあります。

マウスピース矯正は、取り外しができる、透明で目立たないなど、メリットの多い歯科矯正方法です。

しかし、万能ではありません。

たとえば、多くの抜歯が必要な症状では、マウスピース矯正の使用が推奨されません。

なぜなら、抜歯が多くなると、歯を平行移動させて多くのスペースを埋めなくてはいけないからです。

マウスピース矯正は歯を平行に移動させる「歯体移動」を得意としていません。

具体的には、重度の叢生(でこぼこの歯並び)、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)などが該当します。

重度の叢生では矯正前の抜歯が多くなることがあります。

マウスピース矯正を適用しても、スペースを適切に埋めることができず、最終的に歯列が悪化してしまうのです。

近年では、適応症例も増えているマウスピース矯正ですが、適応症例外への無理なマウスピース矯正の利用は歯列の悪化を招きます。

マウスピース矯正が推奨されない例については、「マウスピース矯正ができないのはどんな人?4つの例を解説」もご覧ください。

矯正後に出っ歯になった

マウスピース矯正を終えると、出っ歯(上顎前突)になっていたというケースがあります。

多くの場合、この失敗の原因は、非抜歯矯正の治療計画が不十分だったことにあります。

歯列矯正には、抜歯矯正と非抜歯矯正があります。

矯正前に健康な歯を抜歯することになるため、できれば抜歯矯正を避けたい患者さんも多いでしょう。

しかし、矯正前の歯並びによっては、どうしても抜歯で、歯を動かすためのスペースを確保しなくてはいけないことがあります。

抜歯が必要なケースで抜歯をせずに矯正を開始すると、足りないスペースに無理やり歯を並べることになります。

結果として、歯列が全体的に前に飛び出してしまうのです。

顎関節に痛みを感じるようになった

マウスピース矯正中もしくは矯正後に、顎関節に痛みを感じるようになることがあります。

考えられる原因は、矯正で噛み合わせが不安定になり、顎関節に過剰な負担がかかっていることです。

実は、マウスピース矯正では、審美性を求めて歯列を整えた結果、噛み合わせが不安定になってしまうことがあります。

通常であれば、歯並びが治れば噛み合わせも良くなるはずですが、歯科医師の治療計画に問題があると、噛み合わせが悪化してしまうのです。

たとえば、マウスピースには厚みがあり、その分上下の奥歯が簡単に接触してしまうようになるため、奥歯のみが長時間圧力を受けて、沈み込んでしまうことがあります。

ソフトウェアを用いたシミュレーションは、歯並びの移動計画の予測するうえで非常に効果的です。

しかし、噛み合わせに影響が及ぶことまでは予測ができません。

噛み合わせについては、歯科医師が考慮する必要があります。

噛み合わせが考慮されなかった場合や見立てが誤っていた場合に、矯正後に噛み合わせが悪化し、顎関節に痛みが発生するのです。

虫歯・歯周病を引き起こした

矯正中もしくは矯正後に虫歯や歯周病を引き起こす原因は、口内環境の悪化です。

マウスピース矯正は、食事の際に取り外しができるため、本来であれば、口内環境を清潔に保ちやすいはず。

しかし、食後の歯磨きや怠ると、むしろ一気に口内環境が悪化してしまいます。

通常は、食事の後に歯磨きをしなくても、唾液や水分によってある程度食べかすが除去されます。

それでは、食後に歯磨きをせず、マウスピースを装着するとどうでしょう。

マウスピースによって「フタをされる」と食べかすは流されず、歯間や歯の表面に残り続けてしまいます。

この食べかすに菌が集まることが、虫歯・歯周病の原因になります。

また、マウスピースの洗浄を怠ることも口内環境を悪化させる要因です。

口の中には大量の菌がいて、マウスピースにも付着し、洗浄されない限りは増殖していきます。

毎朝どんなに入念に歯を磨いても、洗浄されていないマウスピースを装着すると、歯に汚れや菌が付着していくので、すぐさま口内環境が悪化していくのは想像に難くないでしょう。

知覚過敏になった

マウスピース矯正を終えると、知覚過敏になってしまっていることがあります。

知覚過敏とは、虫歯や歯周病の症状が見られないのに、歯ブラシの毛先や冷たい食べ物・飲み物が触れた時に痛みを感じる症状のことです。

多くの場合、歯肉が下がった歯根部分で、エナメル質の内側の象牙質が露出し、痛みが生じています。

マウスピース矯正を経て知覚過敏になってしまった場合には、矯正の過程で歯を削ったことの影響が考えられます。

歯列矯正では、歯を動かすためのスペースを作りたいときに、歯の表面にあるエナメル質を削ることがあります。

この処置は、ディスキングもしくはIPR(Interproximal Enamel Reduction)と呼ばれます。

エナメル質の厚さは1~2mm。

そのうち、ディスキングで削る範囲は、0.25~0.5mm程度です。

日本人はエナメル質が薄い傾向があるため、IPRをする場合でも、0.25mmというわずかな範囲の切削に抑えられることがほとんど。

つまり、通常のIPR処置では、エナメル質の内側にある象牙質が露出するようなことはありません。

しかし、何らかの理由で切削範囲が広くなり、象牙質が表面に近くなってしまった場合に知覚過敏の症状が現れることがあります。

また、もともと歯に痛みを感じる傾向がある方のケースでは、わずかな切削範囲でも、知覚過敏になってしまう、もしくは知覚過敏が悪化してしまうことがあります。

歯根が露出した(歯ぐきが下がった)

マウスピース矯正を終えると、まれに歯並びはきれいになったけれども、歯茎が下がって、歯根が露出してしまうことがあります。

場合によっては、前歯どうしの歯根の間に「ブラックトライアングル」という三角形状のすき間ができることがあります。

歯列矯正では、歯に力をかけることで起こる歯槽骨(歯を支えている根元の骨)の吸収再生を利用して歯を動かしていきます。

しかし、急に強い力をかけすぎてしまうと、骨が再生されるスピードが追いつかず、結果として歯肉が退縮してしまうのです。

ただし、ブラックトライアングルの発生には、「矯正前から隙間が存在していたケース」もあります。

でこぼこの歯並びの場合、矯正前から前歯根元に隙間があってもなかなか見えにくく、矯正後に歯がきれい整列することで隙間が目立つようになります。

マウスピース矯正で失敗しないための8つのコツ

マウスピース矯正は失敗に終わってしまうことがあります。

しかし、多くの失敗ケースは未然の防止が可能。

ここからは、マウスピース矯正で失敗しないためのコツを8つ紹介していきます。

信頼できる歯科医師を選ぶ

マウスピース矯正を失敗しないための1つ目のコツは、矯正前に信頼できる歯科医師、歯科医院を選ぶことです。

なぜなら、マウスピース矯正で失敗せずに理想の歯並びを手に入れるには、歯科医師の高度な知識と技術が欠かせないからです。

たとえば、正しく抜歯・非抜歯の選択や噛み合わせの調整をするには、患者さんの歯の状態を正しく観察し、矯正後までの細かな予測立てなくてはいけません。

しかし、実際には、マウスピース矯正を成功させるだけの知識と技術を持ち合わせていない歯科医師が、治療を提供していることも多くあります。

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正のように歯科医師が直接矯正器具を調節して患者さんに装着することはありません。

また、矯正の設計時には、インビザラインが提供しているクリンチェックのようなシミュレーションソフトも利用できます。¥

つまり、マウスピース矯正は専門外の歯科医師でも「治療の提供は可能」と思えてしまうのです。

結果として、歯科医師の矯正領域に対する専門性不足により、矯正後に歯列が悪化したり、出っ歯になったりする失敗が発生してしまいます。

マウスピース矯正を成功させるには、信頼できる経験豊富な歯科医師の力が欠かせません。

カウンセリングの段階で、少しでも気になることがあれば、歯科医師に質問し、納得できないようであれば、他の歯科医院でセカンドオピニオンを得ることも大切です。

自分の症状と治療方法について把握しておく

マウスピース矯正で失敗しないためには、自分の症状とこれから受ける治療について正しく理解しておくことが重要です。

なぜなら、矯正に関する知識を持っておくことで、信頼できる歯科医師や歯科医院、そして正しい治療を見極めることができるからです。

前の項でも述べたように、マウスピース矯正では、専門外の歯科医師が不適切な治療を提供して、失敗を引き起こしているケースがあります。

不適切な治療を未然に避けるためには、矯正前のカウンセリングで歯科医師の話を聞いたり、質問をしたりして、自分の知識と比較するようにしましょう。

たとえば、重度の叢生を抱えている患者さんの場合、矯正前に抜歯が必要になる可能性があります。

しかし、カウンセリングに行った歯科医院で、非抜歯矯正だけを勧められて、リスクについては聞いても明確に答えてくれないことがあります。

そのような場合、自分の知識とさらに比較するために、セカンドオピニオンを得るという決断ができます。

必ずしも叢生に対する非抜歯矯正が間違っているということではありませんが、矯正に関する知識のない患者さんは、非抜歯矯正に飛びついて、失敗に終わってしまう可能性があります。

信頼できる歯科医師を選ぶためには、まず選ぶ基準を持たなくてはいけません。

患者さんが矯正に関する知識を持っていれば、適切な治療をしてくれそうな歯科医師を選ぶ基準にできるでしょう。

装着時間をしっかりと守る

マウスピース矯正で失敗しないためには、マウスピースの装着時間をしっかりと守らなくてはいけません。

なぜなら、マウスピース矯正では、1日に20時間以上マウスピースを装着することで、継続的に歯に力を加えて歯列を整えていくからです。

ワイヤー矯正とは異なり、マウスピース矯正では、患者さん自身で矯正器具の着脱が可能です。

マウスピース矯正を成功させるためには、意識して装着時間を確保することが非常に重要になります。

しかし、20時間というと、1日のほとんどです。

矯正開始直後から、このような長時間の装着を習慣にするのは少し大変かもしれません。

無理に20時間以上マウスピースを装着しようとした結果、矯正自体を苦痛に感じてやめてしまう場合もあります。

矯正を始めたばかりで、装着時間の確保に苦労している場合は、歯科医師に相談するようにしましょう。

リテーナーの装着もサボらない

マウスピース矯正を成功させるためには、保定期間にリテーナーの装着をサボらないようにしましょう。

なぜなら、リテーナーの装着をサボると、せっかく動かした歯が「後戻り」してしまうからです。

マウスピースによって動かした歯は、根元が固まっておらず、元の位置に戻ろうとします。

そこで、動かした歯を新しい位置に固定する役割を果たすのが、リテーナーなのです。

矯正期間で歯を動かし終えた段階で、きれいになった歯並びを見て満足して、リテーナーの装着をサボってしまう方がいます。

しかし、リテーナーの装着をサボってしまうと、きれいになったはずの歯並びが徐々に元に戻っていってしまい、矯正が失敗に終わってしまいます。

矯正完了まであと一歩のところで失敗に転じてしまわないように、最後まで気を抜かず、保定期間にはリテーナーの装着を徹底しましょう。

舌癖や噛み癖を治す

舌癖や噛み癖などの口内の癖は、歯並びが悪くなる原因の一つです。

矯正完了後も歯列を悪化させる癖があると、せっかくきれいになった歯並びを後戻りさせてしまうことになります。

たとえば、舌で前歯を押してしまう癖がある方が出っ歯を矯正したケース。

矯正後も同じ舌癖が残っていると、舌から力を受け続ける前歯は、矯正前のように少しずつ前歯が飛び出していきます。

噛み癖で注意すべきは片噛み癖。

噛みやすいほうの顎で食べ物を噛み続けると、歯が受ける圧力が分散せず、歯並びが悪くなる原因になります。

歯が後戻りしてしまわないよう、マウスピース矯正を進めながら、意識的に自分の舌癖や噛み癖を治していきましょう。

あわせて、寝る時の姿勢や頬杖といった、特定の歯に力を加えてしまう癖も見直していきましょう。

歯科医院によっては、舌癖や噛み癖を治す治療も提供しています。

癖に気づいても自分で治すのが困難な場合は、利用を検討してみましょう。

マウスピースの手入れを欠かさない

マウスピース矯正中は、マウスピースの手入れを欠かさないようにしましょう。

食後の歯磨きを徹底しても、1日20時間以上口に入れているマウスピースは、洗浄やクリーニングなどの手入れを欠かすと、細菌の温床になって悪臭や口内環境の悪化をもたらします。

細菌による口内環境の悪化は、虫歯や歯周病のもとになってしまいます。


基本的な手入れは、毎日の終わりに歯ブラシと歯磨き粉を使って磨くことです。

メーカーによっては、週に1,2回は専用のクリーニング剤を使用しての手入れを推奨しています。

例えば、マウスピース矯正の代表的なブランドであるインビザラインは、「インビザライン・クリーニング・クリスタル」という専用のクリーニング剤を販売しています。

虫歯や歯周病によってマウスピース矯正が失敗しないようにするためには、こまめにマウスピースの手入れをして、口内環境を悪化させないことが大切です。

口内環境を清潔に保つ

マウスピース矯正中は、口内環境を清潔に保つことが重要です。

口内環境が悪化してしまうと、虫歯や歯周病が引き起こされ、矯正が中断され、最悪の場合失敗に終わってしまいます。

口内環境を清潔に保つために、まず徹底しなくてはいけないことは、「食後の歯磨き」です。

食事の時はマウスピースを外しますが、食後すぐに再装着してはいけません。

食後は必ず歯磨きをしないと、歯の表面や歯間の食べかすに菌が付着し、マウスピースの内側で繁殖してしまいます。

これが虫歯や歯周病のもとになるのです。

特に、グミやキャラメルなどの粘着性の高い食べ物は歯にくっつきやすく、硬い肉は歯間に繊維が引っかかりやすいため、食べかすが残らないように、いつもより入念に食後の手入れをしなくてはいけません。

歯ブラシでのブラッシングのほかには、デンタルフロスやウォーターフロスといったアイテムを使って、効率的に手入れをすることも可能です。

虫歯や歯周病の発生でマウスピース矯正が失敗しないために、まずは毎食後の歯磨きから徹底するようにしましょう。

マウスピース矯正中の食事と口内環境の手入れについて、もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ「マウスピース矯正中は食事の制限がない?注意点を完全解説」もあわせてご覧ください。

定期通院を欠かさない

マウスピース矯正を失敗させないコツの1つが、定期通院を欠かさないことです。

歯科医師は、定期通院のタイミングで治療が計画的に進んでいるか、口内に異常が発生していないかを確認します。

つまり、定期通院は「矯正での異常を修正する」機会です。

歯の動きが計画から少しズレたとしても、気づくのが早ければ、修正も簡単です。

しかし、定期通院に行かないということは、異常があっても放置されるということになります。

通院を先延ばしにし続けるとズレの発見も遅れ、大きくズレた箇所の修正は複雑になり、時間もかかってしまいます。

患者さんによっては、マウスピースの装着時間をしっかり確保できていないときに、後ろめたさから通院を避けてしまうことがあるようです。

装着時間不足が続いているような時こそ、治療計画からズレが生じやすいため、異常がないか歯科医院で診てもらう必要があります。

どれだけ多くのデータや観察に基づいても、歯は予想外の動きをすることがあります。

予想外の動きを放置することは、矯正の失敗につながりますので、定期通院は欠かさないようにしましょう。


予約の手間も合わさって通院を怠ってしまうケースも多いので、通院した際に、次回の来院日を予約してしまうことをおすすめします。

無理に治療期間を短縮しようとしない

マウスピース矯正を失敗させないためには、無理に治療期間を短縮しようとしてはいけません。

結果的に、マウスピース矯正の効果が得られなくなったり、逆に歯列が悪化したりする恐れがあります。

たしかに、マウスピース矯正には、矯正を早く進めるためのオプションがあります。

たとえば、オーソパルスに代表される「光加速治療装置」。

歯の周辺組織に赤外線光を当てることで、個々の細胞が活性が高まり、歯の動きが速くなります。

光加速治療には科学的なエビデンスもあるため、歯科医師との相談のうえでの使用に問題はありません。

しかし、個人の判断で無理に治療期間を短縮しようとする行為には、リスクがあります。

マウスピース矯正では、10日から2週間のサイクルでマウスピースを交換します。

患者さんの中には、光加速装置を使っていないにもかかわらず、早く矯正を終わらせたい一心で、マウスピース交換のサイクルを短縮してしまう方がいます。

しかし、歯列は新しいマウスピースに移れる状態ではありません。

無理やり歯列にはめ込まれたマウスピースは過剰な力をかけてしまい、歯列や組織を傷つけることになってしまうのです。

歯列矯正は時間がかかるものですが、地道に進めていけば理想の歯並びを手に入れることができます。

かかる費用を考慮しても、マウスピース矯正は、失敗してもすぐにやり直せるものではありません。

一生に一度の治療で、時間と質を天秤にかけるようなことは避けましょう。

「マウスピース矯正だから失敗する」は間違い

「失敗する可能性がある」と聞くと、マウスピース矯正をためらってしまいますよね。

しかし、「マウスピース矯正だから失敗する」というのは間違いで、ワイヤー矯正を選択しても失敗の可能性はあります。

なぜなら、ワイヤー矯正もマウスピース矯正も、「歯に力をかけ続けて歯列を整えていく」という点は共通しているからです。

どちらの矯正方法でも、治療計画に不備があり、不適切な力のかけ方をしてしまうと矯正は失敗に終わります。

また、マウスピース矯正には適用できない症状があります。

一部の症状に対してマウスピース矯正を用いても、十分な効果が得られない可能性や悪化する可能性があるからです。

適応外の症例にマウスピース矯正を用いて失敗してしまうのは、矯正自体に問題があるのではなく、むしろ治療をおこなう歯科医師に問題があるということになります。

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて歴史が浅く、失敗のケースが目立つこともあります。

しかし、実際はどの歯列矯正にも失敗の可能性はあり、「マウスピース矯正だから失敗する」と考えるのは間違いだと理解しておきましょう。

まとめ

マウスピース矯正では、効果が感じられなかったり、痛みを感じるようになったりする失敗があります。

ただし、コツを知っておけば、ほとんどの失敗は防ぐことができます。

まず、矯正前に信頼できる歯科医師を見つけることが重要です。

そして信頼できる歯科医師を見つけるためには、自分で矯正についての知識を持っておかなくてはいけません。

矯正が始まったら、1日20時間以上の装着時間を確保し、マウスピースの手入れや口内環境を清潔に保つことも怠らないようにしましょう。

保定期間に入っても気を抜かず、リテーナーの装着をサボらないことが大切です。

また、矯正中を通して欠かせないものが定期通院。

通院をしないと、異常があっても発見が遅れて修正するのが難しくなっていきます。

矯正は時間のかかるものです。

無理に治療期間を短縮しようとすると、かえって逆効果になり、矯正が失敗してしまう可能性があります。

歯科医師に相談することなく、マウスピースの交換頻度を早めたりすることがないようにしましょう。

今回の記事を通してマウスピース矯正の失敗については、ある程度理解いただけたのではないでしょうか。

不安が解消された方はもちろん、まだ少し不安があるという方も、次のステップとして歯科医院でカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

当サイトではマウスピース矯正が受けられるおすすめの医院を紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

この記事の監修者

河村 喜英

河村 喜英

公園通り歯科監修者のHPへのリンク

経歴

1999年 福岡歯科大学歯学部卒業 1999年〜2012年 複数の歯科医院勤務 2012年 山口県山陽小野田市 公園通り歯科 開業

コメント

患者さんの美と健康へ追求に貢献し続けることができるように、より多くの患者さんに支持されるように、日々努めております。患者さんにとって常に一番の利益を考え、ご提案をします。

コラム一覧へ

この記事をシェアする

東京都のマウスピース矯正の歯医者を検索