今話題のマウスピース矯正とは|メリットデメリット等を解説!
この記事の監修者
藤林 勉
グリーン歯科
2021/6/24
2024/7/18
#マウスピース矯正
「マウスピース矯正っていう言葉を初めて聴いた」
「マウスピース矯正で本当にしっかり矯正できるの?」
「治療期間が長くならないの?」
マウスピース矯正には興味があるけどどのようなものかはわからない、また自分がマウスピース矯正で矯正できるかわからないと言った疑問を持っていませんか。
マウスピース矯正とは、透明で目立ちにくいマウスピース装置を歯にはめることで行う矯正治療のことです。
また、適切な歯科医師の診断と適切な患者の取り組みで計画通りに歯の矯正を行うことができ、審美性も高いため、近年人気な矯正治療の1つです。
今回の記事では、矯正治療を検討中の方が矯正治療の1つであるマウスピース矯正のメリットやデメリット、他の矯正手法との差を知ることで、納得安心して矯正治療に臨めるようにマウスピース矯正について徹底解説しました。
矯正治療を検討中の方は、是非とも矯正治療について学んでみてください。
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正とは「アライナー」と呼ばれる透明なマウスピース型の矯正装置をはめることで、行う歯の矯正方法の一種です。
従来のワイヤーを用いた矯正装置とは異なり、取り外しが可能な上、透明で目立ちにくいといった観点から人気の矯正装置の1つです。
また金属アレルギーの方でも矯正ができるということで、治療の幅、選択肢を増やし患者のQOL(生活の質)の向上に寄与してきたことは言うまでもありません。
しかしながら、マウスピース矯正にも強みや弱みがあります。
これらを理解して最適な矯正治療を選択していきましょう。
マウスピース矯正のメリット・デメリット
マウスピース矯正にもメリットやデメリットがあります。
メリット・デメリットを充分に理解し、自分にあった矯正方法を考えてみましょう。
メリット
- 透明で目立ちにくく審美性に優れる
- 金属アレルギーでも治療が可能
- 取り外しが可能で衛生的
- 装置の脱落の心配がない
デメリット
- 適応症例が限定される
- 1日の装着時間が規定より短いと矯正治療期間が長くなる、後戻りのリスクがある
- 海外製のマウスピース矯正のアライナーは法律上、医療機器と扱われない
- 矯正シミュレーションは、想定と異なる場合がある
マウスピース矯正のメリットとデメリットについては、「マウスピース矯正のデメリット・メリットを徹底解説!」でさらに詳しくまとめています。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の比較
マウスピース矯正は、これまでの矯正治療のネガティブな側面をカバーする形で生まれた比較的、新しい矯正治療の選択肢の1つです。
従来のワイヤー矯正と比較して、自分がどちらに向いていそうか事前に検討してみましょう。
マウスピース矯正 | ワイヤー矯正(表側矯正) | |
---|---|---|
審美面 | 透明で目立ちにくいため審美性に優れる | ワイヤーが露出するため、審美性はよいとは言えない |
費用 | 症例により値段が変わり、どちらが安いなどはない、またクリニックにより変動する | |
期間 | 症例により異なるが、ワイヤー矯正と同等、もしくは長くなる可能性がある | 症例により異なるが、マウスピース矯正と同等、もしくは短い場合がある |
痛み | 歯に圧力をかける度合いが少ないため、痛みがワイヤー矯正よりも軽い場合が多い | ワイヤー矯正の方が、歯にかける圧力が強いため痛みを強く感じやすい |
適応症例 | 現在、ワイヤー矯正の方が適応できる症例が多い | ワイヤー矯正の方が適応症例が多い |
衛生面 | 取り外しが可能で、ワイヤー矯正よりも衛生的 | ワイヤーと歯の間に汚れなどがたまりやすい |
マウスピース矯正の主要ブランド比較
マウスピース矯正には、実は多くのブランドが存在し、現在も増え続けています。
ブランドごとに違いがあるのか、何が自分に合っていそうなのか等を比較できるようにそれぞれの特徴をまとめてみました。
インビザライン
マウスピース矯正ブームの先駆けとして、現在世界ナンバーワンシェアを誇るのがインビザラインです。
初回に歯型をとり、その後事前に作成されたマウスピース(アライナー)を定期的に交換しながら矯正治療を行います。
1999年に米国で生まれ、2006年から日本でも販売開始となりました。
海外で制作されるマウスピースは、医療機器や歯科技工法における矯正装置にも該当しないものになり、薬機法の対象外となる装置であることはあまり知られていません。
薬機法の対象である場合、*医薬品副作用被害救済制度の対象になる場合があることに注意が必要です。
「歯並びでお悩みの方必見|今話題のインビザラインとは?」
アソアライナー
日本国内で制作されるマウスピースの代表格にアソアライナーがあります。厚みの異なるマウスピース3種類を使い、歯を動かす力を調整していくこと、1ヶ月に1回程度の頻度でマウスピースを作製・交換することが特徴です。
アソアライナーは日本で作製されるため、歯科技工法における矯正装置に該当します。
そのため歯科医師が指示書を作成し、歯科技工士が制作するものになり、薬機法の対象になります。
クリアコレクト
ストローマンと呼ばれるインプラントの大手メーカーの傘下にあるのがクリアコレクトと呼ばれる矯正装置です。
インビザラインと同様に海外でマウスピースを制作するため、薬機法の対象外の装置です。
クリアコレクトはインビザラインと比較して歯茎までカバーするようにマウスピースが作製されるため、歯を動かすためのアタッチメントを減らすことができるというメリットがあります。
アクアシステム
日本人歯科医師が開発したマウスピース矯正のシステム。
マウスピースは、通院ごとに歯型採取(印象採得)を行う必要があります。
そのため患者様の歯の動きに合わせた柔軟な治療が可能になり、マウスピースを交換する回数もインビザラインより少なく済むことが多いです。
その結果、矯正に関しての費用も抑えられる場合が多いことが特徴です。
こちらは薬機法の対象内になります。
*医薬品副作用被害救済制度とは
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた方に対して、医療費等の給付を行い、被害を受けた方の迅速な救済を図ることを目的として、昭和55年に創設された制度であり、医薬品医療機器総合機構法に基づく公的な制度です。
医療行為そのものは完璧なことではないため、副作用による影響を受ける可能性はすべての治療に発生します。
万が一副作用が発生した際に利用できる救済制度があるということは、理解しておくとよいでしょう。
ここまで紹介したマウスピース矯正の各ブランドについては、「マウスピース矯正の種類と違いを解説|おすすめはどれ?」でさらに詳しく知ることができます。
マウスピース矯正にかかる一般的な費用
マウスピース矯正は、自由診療にあたりクリニックにより費用が異なります。
ここでは費用のかかるポイントをまとめることで、事前にかかる費用を想定しておきましょう。
カウンセリング
料金:0円から1万円程度
カウンセリングとは、患者様が自身の歯の悩みについて相談したり、適応可能な症例かどうかを確認したり、料金の概算について案内を受けたりする場合が多いです。
医院によっては、口腔内スキャンを実施し矯正後のシミュレーションまで行う場合もあります。
検査
料金:1万円から6万5千円程度
口腔スキャンや目視だけでは、歯を支える骨までは見ることができません。
レントゲンやCTを用いて精密に検査を行い、顔貌や口腔内の写真を撮影しデータを採取します。
それらのデータを元に詳細な治療計画を立て、また料金の見積もりを算出します。
矯正開始
料金:15万円から120万円
マウスピース矯正の場合、計画を立てた段階で矯正装置の料金が決まる場合がほとんどです。
片顎のみや部分的な移動のみの部分矯正は料金が安くなります。
逆に、抜歯が必要であったり歯の移動量が多いような難しい症例は、料金が高くなります。
矯正中
料金:0円~1万円(通院1回あたり)
矯正中には、治療計画通りに進んでいるのか、虫歯や歯周病にかかっていないか、などチェックポイントがあります。
またマウスピース矯正の中には、通院ごとに歯型を採取して、マウスピースを作製するタイプもあります。
患者様の状態や、使用しているマウスピースの種類、通院している医院の方針によって料金が変動します。
保定開始
料金:0円~6万円
歯を目標の位置まで動かした後は、その位置に歯が固定されるように保定(ほてい)を行います。
歯を動かした期間と同じくらいの期間、保定装置を装着する必要があります。
保定中
料金:0円から5,000円程度(通院1回あたり)
保定中に歯が固定されているかどうかや、虫歯や歯周病になっていないかなどを確認する必要があります。
それらの通院は3ヶ月から6ヶ月に1回程度に設定している歯科医院が多いようです。
通院頻度は、歯の固定され具合によって変化するため通院頻度は下がっていく傾向になります。
マウスピース矯正が向いている人
マウスピース矯正は、非常に人気な治療方法である一方、向き不向きがあります。
マウスピース矯正に向いている事例を紹介します。
・歯を抜かないで行う、軽度の隙間が空いている程度の症例
・歯を抜かないで行う、軽度の叢生(そうせい:歯並びがデコボコしている状態のこと)
・歯を抜かないで行う、歯の移動が少ない治療
・後戻りしてしまった場合の回復の治療
・歯を抜いて行う治療の場合でも、歯の傾斜移動で改善できそうな症例
・金属アレルギーを持っている方の症例
マウスピース矯正は歯を大きく動かす症例には適さない可能性があります。
しかし、治療技術やテクノロジーの進歩で、今までマウスピース矯正では不可能だった症例でも治療ができるような発表も日々されていることは事実です。
自分自身がマウスピース矯正で治療ができるかどうかは、歯科医師に相談して確認をとるようにしましょう。
マウスピース矯正ができない例について詳しく知りたい方は、「マウスピース矯正ができないのはどんな人?4つの例を解説」もあわせてご覧ください。
マウスピース装置で歯が動く仕組み
固い歯がなぜ動くのか、疑問に思う方も多いでしょう。
マウスピース矯正もワイヤー矯正も歯が動く根本の仕組みは変わりません。
しかしマウスピース矯正とワイヤー矯正では、歯の動かし方に得意不得意が存在します。
歯の動く仕組みを理解して、より自身の矯正治療のイメージを持っていただければと思います。
歯は、歯槽骨と呼ばれる骨に埋まっています。
しかし、歯と歯槽骨はぴったりとくっついているのではなく、歯根膜と呼ばれる組織が歯と歯槽骨の間に存在し両者にとってのクッションの役割を果たしています。
そこで歯に一定の方向に力が加わると、一方の歯根膜は縮み、逆方向の歯根膜が伸びる状態になります。
歯根膜が縮んだ側の歯槽骨は帳尻を合わせようと骨を溶かし、伸びた歯根膜側の歯槽骨は新たに骨を作り出します。
その動きの結果、歯は力がかかった方向に少しずつ動かすことができます。
ただし無理なく歯に力をかける必要があるため、矯正治療では1ヶ月に1mm程度しか動かすことができません。
また歯の移動には「歯体移動」と「傾斜移動」の2種類が存在します。
マウスピース矯正が得意な移動方法は傾斜移動です。
「傾斜移動」は、出っ歯などを矯正することをイメージするとわかりやすいのですが、歯の根元の位置を変えず歯の角度を変える移動方法です。
「歯体移動」とは、歯の根元から移動させるもので抜歯症例(歯を抜いて行う矯正症例)などで利用されるものでワイヤー矯正を利用することが多いです。
マウスピース矯正では、傾斜移動を得意としているということも頭に入れておくとよいでしょう。
まとめ
マウスピース矯正とは、透明のマウスピース型装置を用いて行う矯正手法の1つです。
近年多くの人気を集め、各メーカーがマウスピース矯正装置の開発を行っています。
審美性の高く、取り外しが可能で衛生的であるメリットもある一方、適応する症例は限られているというデメリットもあります。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正にそれぞれメリット、デメリットが存在するためどちらが自分に合っているかよく歯科医師と相談しながら検討してみるとよいでしょう。
当サイトでは矯正治療においてマウスピース矯正に多くの症例を持っている歯科医院をご紹介しています。
ご興味ある方は、お近くの歯科医院を検索してみてください。
この記事の監修者
藤林 勉
経歴
1981年 日本歯科大学歯学部 卒業 1982年~1983年 鶴見歯科医院 勤務 1984年~1986年 レオデンタルクリニック 勤務 1986年4月 グリーン歯科 開業
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