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マウスピース矯正で出っ歯の治療は難しい|その原因と代替案

この記事の監修者

三上 智彦

医療法人社団佑健会

作成日のアイコン

2022/2/7

最終更新日のアイコン

2023/4/19

#マウスピース矯正

コラムのサムネイル

「出っ歯ってマウスピース矯正で治せるのかな...」

「出っ歯がマウスピース矯正で治せるのはどういう場合?」

上の歯や顎自体が前に出てしまい、顔貌にすら影響を与えてしまう出っ歯。

Eラインが出来上がるような美しい横顔を目指すなら、是非とも治療をしたいところだと思います。

しかし、最近流行のマウスピース矯正では出っ歯は治療できないとの噂もあると聞きます。

本記事では、マウスピース矯正で出っ歯は治療できるのか。

また難易度が高い理由や、その場合の代替案などを記事にいたします。

本記事を読むことでマウスピース矯正で出っ歯治療を検討している方が、どのように行動するべきかのヒントを得られると思います。


出っ歯とは

出っ歯とは、前歯や上顎、もしくは上顎と下顎いずれもが通常より前方に突き出した形である状態をさします。

出っ歯は口を閉じた状態でも、表情に影響を与えるもので、悩みを持つ人も多い不正咬合の一種です。

出っ歯の原因には、遺伝的なものや、舌癖、おしゃぶり癖、鼻疾患による口呼吸の常習化などがあげられます。

マウスピース矯正で出っ歯の治療は難易度が高い。

出っ歯の治療をマウスピースでおこなう場合、治療は難易度が高く、症例や担当する歯科医師によっては困難な場合があります

まずマウスピース矯正は、どんな症例でも必ず治すことができる治療法ではありません。

しかしマウスピース矯正は新しい治療法であるため、これまで出来ないと考えられていたことも、どんどんできるようになってきていることも事実です。

そのため、マウスピース矯正を利用して出っ歯を治すことができる技術を持った歯科医師にまずは相談をしてみることが大事です。

マウスピース矯正で出っ歯(口ゴボ・上顎前突)の治療が難しい原因とは

出っ歯の治療をマウスピース矯正で行う際に治療難易度が高いとされる理由は、歯自体の大きな移動を伴う場合があるからということと、顎の骨格自体を矯正しないといけない場合があるから、などがあげられます。

歯自体の大きな移動を伴う場合があるから

歯科医師によって意見が多少異なりますが、マウスピース矯正は、歯の歯体移動(したいいどう)が不得意で、歯の傾斜移動が得意と言われています。

歯体移動とは?

歯の根元から移動させる矯正の方法です。

歯の歯根ごと、歯槽骨から生えている位置を移動させるものを歯体移動と言います。


日本矯正歯科学会のアライナー型矯正装置による治療指針においてもの【推奨されない症例】に”歯の大きな移動を必要とする症例”という項目が記載されています。

歯科医師によってスタンスが分かれるところですが、マウスピース矯正について深い知見がない歯科医師にとっては、ほぼ確実に歯自体の大きな移動を伴う矯正の難易度は高いと言えるでしょう。

出っ歯の原因として、歯の生えるスペースが不足している場合があります。

その場合には、歯が生えるスペースを確保するために抜歯をして歯がまっすぐに生えるように調整します。

その際には歯の移動が大きくなる可能性があるため、出っ歯の治療はマウスピース矯正では難しいと言われる原因になっていると考えられます。

顎の骨格自体を矯正しないといけないから

そもそも顎の骨格に原因がある出っ歯の場合は、マウスピース矯正での適応症例外です。

マウスピース矯正に関わらず、ワイヤーを用いた矯正においても顎の骨格矯正は困難で、外科的な措置が必要になる場合があります。

出っ歯でもマウスピース矯正で治療できる場合

出っ歯でもマウスピース矯正で治療ができるのは、以下の条件が揃った時です。

・歯科医師にマウスピース矯正での出っ歯治療の経験、知識がある
・出っ歯の症例が比較的軽症である、もしくは出っ歯の原因自体が治せる原因である

歯科医師にマウスピース矯正での出っ歯治療の経験、知識がある

まずマウスピース矯正での治療の場合、担当する歯科医師の知識や経験をチェックしましょう

当然ながら、歯科医師のみなさんは国家資格を有し歯に対する専門性を持っていますが、歯科治療においても、矯正や、歯周病、小児歯科など様々専門分野に分かれます。

矯正も専門的な知識が非常に必要な分野であり、マウスピース矯正であろうが、ワイヤー矯正であろうが、経験や知識は必須です。

そのため歯科医師の専門性が高いかどうかをまず確認しましょう。

その1つの基準に日本矯正歯科学会で「認定医」「指導医」などの資格を持っているかどうかがあげられます。
(参考:日本矯正歯科学会)

しかしこのような専門的な資格のうち、日本矯正歯科学会の「認定医」「指導医」などは、厚生労働省の定める広告可能な資格ではないため、Webサイトに載せて いない歯科医師もいます。

そこで、以下の日本矯正歯科学会のサイトから「認定医」や「指導医」を探すことができるため、参考にしてみましょう。
(参考:日本矯正歯科学会 認定医・指導医・臨床指導医検索)

ただしあくまでも、これらの資格は参考程度にしておきましょう。

これらの資格を持っていなくても、矯正で著名な先生は多くいらっしゃいますし、資格を持っているから治療が必ず成功するものでもありません。
最終的には、信頼できる歯科医師かどうか自分自身で判断することが重要です。

出っ歯の原因自体が治せる原因である、もしくは出っ歯の症例が比較的軽症である

出っ歯の原因は、マウスピース矯正で治療ができないことがあります。

たとえば、出っ歯の原因が顎の骨にある場合。

マウスピース矯正では顎の骨格を動かすことができないため、マウスピース矯正だけではこのタイプの出っ歯を治すことは困難です。

また、顎の外科的な処置が必要になる場合もあり、マウスピース矯正の症例対象外です。

原因とあわせて大切なのが、出っ歯の症状。

軽症でなくては、マウスピース矯正の治療は難しくなります。

なぜなら、症状の重い出っ歯では、歯を大きく移動しなくてはいけないからです。

マウスピース矯正は、基本的に歯を大きく動かすことは得意としていません。

そのため、抜歯を伴う歯の大きな移動をする治療の場合は、マウスピース矯正の対象外になる場合があります。

しかし、歯と歯の間を削って移動するスペースを作る処置を行うなどの場合であれば、歯の移動する距離を小さくできるので、マウスピース矯正の対象になることがあります。

現在では、抜歯を伴う症例でもマウスピース矯正で適応できる歯科医院もあるようなので、こちらも歯科医師にしっかり確認することが重要でしょう。

また、マウスピースにこだわらずに治療を選択できるスタンスが治療を成功させる鍵になるかもしれません。

出っ歯を治す際の費用はいくら?

症例によって変わりますが、全体矯正か部分矯正かによって費用は大きく異なります。

マウスピース矯正で治療を行う際には以下がおおよその相場でしょう。

部分矯正:25万円から60万円程度
全体矯正:55万円から100万円程度

またそもそも矯正治療というものに、保険は適用されるのかといった点についてですが、矯正治療はほとんどの場合、保険は適用できず自費での治療になります。

保険でも適用できるのは「厚生労働省の定める先天性の異常」「顎変形症」「永久歯萌出不全」の場合のみであり、出っ歯の場合は保険適用は難しいと考えるべきでしょう。

しかし、医療費控除と呼ばれる仕組みがありそちらを利用することで費用の一部が帰る場合があります。
(参考:国税庁)

この医療費控除が受けられるかどうかも歯科医院に相談をしてみることで、矯正の費用を抑えることができるかもしれません。

マウスピース矯正にかかる費用については「マウスピース矯正の費用はどれくらい?相場や内訳を解説」も確認しておきましょう。

出っ歯を治すための治療期間はどれくらい?

治療にかかる期間も部分矯正か全体矯正かによって、大きく変化します。

おおよそ以下が治療にかかる期間です。

部分矯正:3ヶ月から1年6ヶ月
全体矯正:1年6ヶ月から3年

矯正は治療の計画によって、大きく治療期間が異なります。

歯を抜く抜歯矯正の場合は歯を動かす距離が長くなる分、治療期間が長くなります。

また多くのマウスピース矯正は、1日20時間以上矯正器具をつける必要があり、それらを怠った場合は、治療が長引く可能性があることも留意する必要があります。

マウスピース矯正にかかる期間については、「マウスピース矯正の期間は長い?期間を延ばさない5つのコツ」で詳しく解説していますので、あわせて目を通しておきましょう。

出っ歯をマウスピース矯正以外で治す方法

出っ歯をマウスピース矯正以外で治す方法はいくつかあります。

中には自分で治そうと考え指で歯を押し込む人がいますが、決してやってはいけません。

歯の神経を痛めたり、歯の寿命を縮めてしまう可能性があるからです。

マウスピース矯正以外では以下の方法が考えられます。

・ワイヤー矯正
・セラミック矯正
・手術

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正はマウスピース矯正よりも歴史ある矯正の手法で、適応症例がマウスピース矯正よりも広いことが特徴です。

金属などのワイヤーとセラミックなどのブラケットを組み合わせた矯正装置で、歯の矯正を行います。

歯の表側に行うことが多いのですが、歯の裏側につけて矯正装置を外から見えづらくする裏側矯正という手法もあります。

矯正経験がマウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が経験が多い歯科医師も多いので、安心度が高いと言えるかもしれません。

セラミック矯正

セラミック矯正は、矯正という名前がついていますが、実際に歯を動かして歯並びを整えることはしません。

悪い歯並びの箇所の歯を削り、その上からセラミックのクラウンを被せることで、歯並びを綺麗に見せる手法です。

目に見える部分が全て人工のセラミックになるので、自然な歯よりも白い歯にすることが可能で、また治療期間も短くすみます。

一方で、必ず考慮に入れるべきこととしては、健康な歯を削ってしまうことで歯の寿命を縮めてしまう可能性が高いこと。

歯列矯正で時間をかけて歯並びを綺麗にした方が、自分の歯を守る選択肢になるかもしれません。

手術

外科的な処置を顎に施すことで、出っ歯を治療します。

顎の骨を切って、後ろに後退させる外科的な手術を行います。

その場合には、口腔外科医と矯正歯科医が連携をとって治療を行います。

マウスピース矯正が得意な症例

軽微な歯の移動を伴う矯正や傾斜移動、大臼歯を下に押し込む、奥歯を後ろに下げるなどはマウスピース矯正が得意とする動きです。

よって以下のような場合は、マウスピース矯正の得意な症例と言えるでしょう。

傾斜移動とは?

歯の生える角度を変える矯正の方法です。

歯根の位置はほとんど変えずに、生えている角度を変化させます。

・開咬
・軽度の出っ歯
・歯槽性の受け口
・すきっ歯(空隙歯列)
・過蓋咬合(かがいこうごう)

マウスピース矯正が不得意な症例

以下の3つのようなケースは、マウスピース矯正のみで治療する難易度は非常に高くリスクがある可能性があります。

歯の移動が大きい場合、顎の手術が必要な場合などはマウスピース矯正での治療は難しくなります。

・重度の叢生(そうせい)
・重度の出っ歯
・重度の受け口

まとめ

今回はマウスピース矯正で出っ歯が治せるのかをまとめました。

出っ歯は軽度で顎の手術が必要ではない場合、歯科医師の経験値や知識が高い場合は出っ歯をマウスピース矯正で治せる可能性が高いと言えます。

歯科治療は専門性が高いものであり、まずは歯科医師に相談することが重要です。

また歯科治療も、その中で専門性が分かれるものであり特に矯正治療においては、特に高い領域であるといえるでしょう。

よって相談する歯科医師についても、誰でも良いと考えることなく探してみることが重要です。

自身の判断で決して判断することなく、歯科医師の指導を元に検査・治療計画を立て矯正治療を成功させましょう。

当サイトではマウスピース矯正が受けられるおすすめの医院を紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

この記事の監修者

経歴

2008年 東京歯科大学歯学部卒業 2009年 東京歯科大学歯学部附属病院臨床研修修了 2012年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面矯正学分野矯正歯科専攻生課程修了 2012年- 千葉県内矯正歯科医院勤務、医療法人社団佑健会勤務

コメント

日本矯正歯科学会認定医/インビザライン認定ドクター 柏KT矯正歯科 院長。東京歯科大学卒。同大学院の矯正歯科専攻生課程修了。認定医やインビザライン認定ドクターの知識や数千ある治療経験から患者様の最適な治療を提案し、理想のゴールへ一歩でも近づけるような治療を心がけています。

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