マウスピース矯正の期間は長い?期間を延ばさない5つのコツ
この記事の監修者
河村 喜英
公園通り歯科
2021/7/7
2024/7/18
#マウスピース矯正
「マウスピース矯正が気になっているけど、時間がかかりそう・・・」
「とにかく早く歯並びをきれいにしたい。」
歯の矯正方法を調べると、マウスピース矯正は痛みが少ない方法として紹介されていることが多いです。
しかし、「マウスピース矯正は痛みが少ないぶん、期間が長い」といった情報が出回っていることによって、矯正の決心ができない方が多くいらっしゃいます。
そこで、この記事では、「マウスピース矯正は期間が長い」というのは誤りであることを、ワイヤー矯正にかかる期間と比較しながら、解説していきます。
この記事を読むことで、「マウスピース矯正はどれくらいの期間がかかるか」がわかります。
また、マウスピース矯正の期間が延びてしまう理由と、マウスピース矯正の期間を延ばさずに終える5つのコツも知ることができます。
歯科矯正で歯並びをきれいにしたい方は必見です。
- 3.1部分矯正にかかる期間
- 3.2全体矯正にかかる期間
- 6.1①装着時間を守らない
- 7.3③口内環境を清潔に保つ
- 8まとめ
なぜ歯科矯正には長い時間がかかるのか
歯科矯正に長い時間がかかるのは、歯を少しずつ動かさなければならないからです。
歯は、歯槽骨という骨に埋まっています。しかし歯と歯槽骨は密接しているのではなく、歯根膜という弾力のある薄い膜が歯と歯槽骨の間でクッションの役割を果たしています。
矯正器具で歯に力を加えると、その力が歯根膜に伝わります。歯が動く側の歯根膜は縮み、反対側の歯根膜は延びます。そうすると、歯根膜が縮んだ側の歯槽骨は、歯根膜の厚みを保つために骨を溶かし、逆に伸びた側の歯槽骨は新たに骨を作り出します。
時間をかけて骨を溶かし、再生することで歯が動くのが、矯正の仕組みです。
歯に強い力をかけて一気に歯を動かそうとしては、骨の溶解と再生が間に合わず、歯に傷を付けてしまうことになります。
矯正は少しずつ適切な力で歯を傷つけないように動かしているため、1度の通院では終わらず、長い時間がかかるのです。
マウスピース矯正には2つの期間がある
マウスピース矯正は施術内容によって2つの期間に分けられます。
矯正期間
まずは「矯正期間」です。
「矯正期間」とは、「実際に歯を動かす期間」のことを指します。
マウスピース矯正の矯正期間は、数ヶ月から2年半かかります。
治療開始時の歯並びによって、前歯を中心とした部分的な矯正で済むのか、奥歯から全体的に矯正する必要があるのかによって期間が変わります。
マウスピース矯正で歯を動かす方法については「今話題のマウスピース矯正とは|メリットデメリット等を解説!」をご覧ください。
保定期間
「保定期間」は、マウスピースで動かした歯が「元に戻る」のを防ぐ期間です。
保定期間は、少なくとも矯正期間にかかったと同じ期間を要するので、1年~2年を考えましょう。
マウスピースで矯正を終えた直後の歯は、歯槽骨が固まっておらず、さらに歯根膜は繊維が記憶しているもとの位置に戻ろうとします。
矯正期間後にリテーナーと呼ばれる装置を装着することで、骨と繊維に新たな歯の位置を記憶させます。
通常、リテーナーの1日あたりの装着時間は保定期間が進むにつれて短くなっていきます。
歯科医院や患者さんによって異なりますが、矯正直後にはマウスピースとおおよそ同じ1日に20時間以上、6ヶ月経てば半日、1年半経てば就寝時のみというように装着時間が短くなります。
マウスピース矯正は矯正範囲で治療期間が変わる
マウスピース矯正は「部分矯正」か「全体矯正」かで治療期間が変わってきます。
部分矯正にかかる期間
すきっ歯や八重歯などの、前歯を中心とした(奥歯を矯正しない)部分矯正の「矯正期間」は3ヶ月~1年です。
「保定期間」は、最低でも3ヶ月、ほとんどの場合1年かかります。
部分矯正の矯正期間が比較的短いのは、歯を動かす距離が少ないからです。
個人差はありますが、軽度のすきっ歯で前歯の隙間を埋める程度の部分矯正であれば、3ヶ月という短期間で効果を実感できることがあります。
全体矯正にかかる期間
奥歯を含めた全体矯正の「矯正期間」は平均して1年~2年半です。
「保定期間」は1~2年程度かかります。
全体矯正の場合、奥歯まで矯正を行うので、その分歯が動く距離が大きくなります。
矯正期間に幅があるのは、全体矯正では抜歯を行って歯が動くスペースを作り出すことがあるからです。
例えば、出っ歯(上顎前突)の治療の場合、左右の小臼歯を抜歯して合計14mmのスペースを作り出します。
歯は1週間で約0.25mm、1ヶ月で約1mm動くので、スペースを利用して前歯をひっこめるだけでも、単純計算で14ヶ月かかります。
全体の歯並びをきれいにするために歯を動かすので、全体矯正は部分矯正より時間がかかってしまうのです。
マウスピース矯正中の通院頻度
マウスピース矯正の「矯正期間」と「保定期間」において、どれくらいの頻度で歯科医院に通わなくてはいけないかをお伝えしていきます。
矯正期間の通院頻度
マウスピース矯正の「矯正期間」は、1~2ヶ月に1回の通院が必要です。
マウスピース矯正では、歯の動きに応じてマウスピースを1週間に1回交換します。
しかし、多くの場合、治療開始時にコンピュータで治療の計画を算出し、まとめて1ヶ月半から2ヶ月分のマウスピースを受け取ります。
ワイヤー矯正は3~4週間に1回通院する必要があります。
ワイヤー矯正は、患者さん自身で矯正器具を調整することができないため、調整のたびに通院することになるからです。
歯科医院や症状によって異なりますが、2ヶ月に1回という少ない通院頻度が実現できるのは、患者さん自身で着脱が可能なマウスピース矯正のメリットです。
保定期間の通院頻度
マウスピース矯正の「保定期間」は、保定期間が進むにつれて通院頻度が減っていきます。
「矯正期間」の直後は月に1回、3ヶ月ほど経つとと2~3ヶ月に1回、1年経つと半年に1回のようになります。
その理由は、時間が経つにつれて歯が新しい位置に固定されていくからです。
矯正直後は歯が元の位置に戻ろうとする力が最も強くはたらくため、歯科医師に、歯が戻ろうとしている様子がないかを定期的に確認してもらう必要があります。
しかし、リテーナーによって、歯に新しい位置を記憶させていくと、歯が元の位置に戻ろうとする動きも小さくなってくるので、通院頻度を減らすことができるのです。
マウスピース矯正とワイヤー矯正にかかる期間を比較
「マウスピース矯正は時間がかかる」と言われますが、実際はそんなことはありません。
ワイヤー矯正(表側矯正、裏側矯正)と比較しても、マウスピース矯正にかかる期間は同じくらいで、平均して数ヶ月~2年半くらいです。
かつては、ワイヤー矯正は、矯正の力が強いぶん痛みがあり、歯が速く動くと言われていました。
しかしマウスピース矯正の技術は進化し、痛みは少なく、ワイヤー矯正と同じくらいの速さで歯を動かせるようになりました。
マウスピース矯正の治療期間が延びる4つの理由
ここでは、マウスピース矯正の治療期間が延びてしまう4つの理由を紹介します。
マウスピース矯正は、基本的に治療開始時にコンピュータを利用して矯正の計画を立てますが、中には期間が延びてしまう場合があります。
①装着時間を守らない
マウスピース矯正は、1日20時間以上の装着時間を守らないと治療期間が延びてしまいます。
なぜならマウスピースを決められた時間装着しないと、歯が予定どおりに動かないからです。
マウスピース矯正はワイヤー矯正と異なり、患者さん自身で矯正器具の着脱が可能です。
だからこそ患者さんが自己管理をしなければ、ワイヤー矯正と比べて計画通りに歯が動かないケースが多くなってしまいます。
②マウスピースを雑に管理する
マウスピースを雑に扱うことは、治療期間が延びる原因になってしまいます。
マウスピースは着脱可能なので、紛失のリスクがあります。
もしくは一時的に外している間に、誤って破損してしまう可能性もあります。
そういった場合には、マウスピースを作り直さなくてはいけません。
作り直している間は治療を進まず、治療計画に遅れが生じてしまいます。
③虫歯や歯周病の治療が必要になった
マウスピース矯正中に虫歯が見つかった場合や、歯周病になってしまった場合には、矯正治療期間が延びてしまいます。
虫歯が見つかると、その部分を削って詰め物をしなければなりません。
詰め物をすると歯の形が変わってしまうため、虫歯治療前に作成したマウスピースがはまらなくなってしまいます。
その場合、新しく歯型を取ってマウスピースを再度作り直さなければいけません。
マウスピースは歯にかぶせるものなので、食事後に歯磨きをサボって、マウスピースを付けると、歯と歯の隙間に食べ物が唾液で流されず、残り続けてしまう可能性が高くなります。
磨き残しがきっかけで虫歯や歯周病になると、矯正期間が延びてしまうのです。
④リファインメントが必要である
リファインメントが必要な場合は、マウスピース矯正中の期間が延びてしまいます。
リファインメントとは、矯正の途中で再度計画を立て直し、マウスピースを追加することを言います。
マウスピース矯正では、コンピュータで矯正中の歯の動きを予測し、マウスピースを作成します。
しかし、歯は必ずしも予測されたとおりの動きをするわけではありません。
実際に動きに合わせて歯を動かしていかなければ矯正の効果は出ないので、リファインメントは重要な工程です。
リファインメントが必要になった場合は、治療期間が延びることになるということは覚えておきましょう。
マウスピース矯正の治療期間を延ばさないための5つのコツ
ここからは、マウスピース矯正の治療期間を延ばさないための5つのコツを紹介していきます。
①1日20時間の装着を守る
まずは、毎日20時間以上マウスピースを装着することが、治療期間を延ばさないコツの1つ目です。
先にも述べた通り、1日あたり20時間以上マウスピースを装着していないと、歯が計画的に動きません。
歯が計画的に動かないとリファインメントが必要になる可能性もあがってしまいます。
食事と歯磨きのとき以外は、マウスピースを装着するようにしましょう。
②マウスピースを丁寧に取り扱う
マウスピースを丁寧に扱うことは、治療期間を延ばさないうえで重要なことです。
マウスピースを紛失したり、破損したりすると、再発注しなければならないので、新しいマウスピースが届くまでは治療が進みません。
現在では、マウスピース専用ケースも数多くあるため、それらに収める習慣づけをすることで紛失や破損のリスクを減らしていきましょう。
③口内環境を清潔に保つ
マウスピース矯正の期間を延ばさないように、口内環境を清潔に保つようにしましょう。
矯正中に虫歯や歯周病になると、矯正よりもその治療を優先しなければいけなくなるので、時間のロスになってしまいます。
虫歯の治療では、歯を削って詰め物をするので歯の形が変わってしまいます。
形が変わった歯によってマウスピースがはまらなくなると、新しく歯型をとってマウスピースを作成しなくてはいけなくなります。
マウスピースは基本的に食事と歯磨きの時間以外は付けていなければなりません。
できるかぎり、食後にはすぐ歯を磨いて食べ物が歯に残らないようにしましょう。
歯磨きで口内環境を保ち、虫歯や歯周病を防ぐことがマウスピース矯正を予定どおりに終えるコツです。
④マウスピースのメンテナンスを欠かさない
マウスピースのメンテナンスを怠ると、矯正期間が延びてしまう可能性があります。
マウスピースをきれいに保たないと、そこから菌が繁殖し、虫歯や歯周病を引き起こしてしまうからです。
歯をどれほどきれいに磨いたとしても、マウスピースを全く洗浄しなかったら、きれいな歯に汚れたマウスピースを密着させることになります。
そうすると、マウスピースに残った菌が歯に移って繁殖してしまいます。
歯磨きをして歯をきれいに保っても、汚れたマウスピースをかぶせると虫歯や歯周病のもとになります。
専用の洗浄液を使うこともあるので、歯科医師の指示に従ってマウスピースを清潔に保つことが重要です。
⑤定期的な通院を欠かさない
矯正の期間を延ばさないようにするには、定期的な通院を欠かさないようにしましょう。
歯科医師は定期的に経過観察をすることで、矯正が計画的に進んでいるかを確認するからです。
マウスピース矯正では、治療計画をコンピュータでシミュレーションしますが、歯は必ず予定どおりに動くわけではありません。
通院したときに歯科医師が、予想と異なる歯の動きを観察できれば、すぐに計画を修正でき、結果的には予定どおりの期間に矯正が終了する可能性が高いです。
しかし、定期的な通院を怠り、歯科医師に経過を確認してもらう機会をなくすと、修正のタイミングを逃してしまうことになります。
予約の手間から通院を怠ってしまうケースが多くあるので、通院した際に次回の来院日も予約することをおすすめします。
まとめ
マウスピース矯正には、歯を動かす期間である「矯正期間」と歯を新しい位置に固定する「保定期間」があります。
前歯を中心とする部分矯正なら「矯正期間」は数ヶ月で終わる場合もあります。
奥歯を含めた全体矯正の「矯正期間」は、平均して1年~2年半です。
しかしマウスピース矯正は、1日20時間の装着時間を守らなかったり、虫歯が発生したりすることで治療期間が延びてしまう可能性があります。
マウスピース矯正で少しでも早く歯並びをきれいにするためには、装着時間を守って、口内環境やマウスピースを清潔に保つことが重要です。
今回の記事で紹介したコツを活かして、1日でも早く歯並びをきれいにして、理想の歯を手に入れましょう。
当サイトではマウスピース矯正が受けられるおすすめの医院を紹介していますので、マウスピース矯正に興味がある方は一度ご覧いただければ幸いです。
この記事の監修者
河村 喜英
経歴
1999年 福岡歯科大学歯学部卒業 1999年〜2012年 複数の歯科医院勤務 2012年 山口県山陽小野田市 公園通り歯科 開業
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