現在の掲載医院数8,279


歯医者選びならMedee
>

マウスピース矯正ができないのはどんな人・症例?4つの例を解説

この記事の監修者

小西 知恵

はぴねす歯科 川西能勢口駅前クリニック

作成日のアイコン

2021/7/7

最終更新日のアイコン

2024/7/17

#マウスピース矯正

コラムのサムネイル

マウスピース矯正は、痛みが少なく目立たない矯正方法です。

誰でも痛い矯正や目立つ矯正はしたくないので、マウスピース矯正を一度は検討しますよね。

しかし、「誰もがマウスピース矯正をできるわけではない」という情報を見かけて、

「私はできるのかな・・・」

「もし、マウスピース矯正ができなかったらどうしよう・・・」

と不安に思う方がいるようです。

そこで、この記事では、どのような人やどのような症例の場合、マウスピース矯正ができないのか、そしてできない場合はどのように対応すればいいのかを解説していきます。

この記事を読むことで、あなたがマウスピース矯正をできるかを知ることができます。

マウスピース矯正を検討中の方はぜひご覧ください。

マウスピース矯正ができない人の例4つと対応策

マウスピース矯正は、痛みが少なく目立たない魅力的な歯科矯正方法ですが、中には適用できない人がいます。

どんな人にマウスピース矯正を適用できないのか、また適用できなかった場合の対応策を紹介していきます。

例①:多くの抜歯が必要な人

矯正開始時に多くの抜歯が必要な人は、マウスピース矯正を適用できない可能性があります。

なぜなら、抜歯が多くなってしまう症例ですと、そのスペースを埋めるために歯を平行移動させる距離が長くなってしまうからです。

この歯の平行移動を「歯体移動」といいますが、マウスピース矯正は歯体移動を得意としていません。

具体的には、叢生(でこぼこの歯並び)、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)などが重度であると、歯を動かすスペースがなく、多くの抜歯をしなくてはいけない場合があります。

マウスピース矯正前に抜歯をする場合、第一小臼歯を抜歯することが多いですが、上下の第一小臼歯計4本より多くの抜歯が必要なら、マウスピース矯正は向いていない可能性があります。

多くの抜歯をしてマウスピース矯正を始めてしまうと、抜歯によってできたスペースを適切に埋められなかったり、長い治療期間がかかってしまうので注意が必要です。

対応策:ワイヤー矯正との併用を検討する

矯正時に多くの抜歯が必要な人は、マウスピース矯正とワイヤー矯正を併用した治療を検討しましょう。

ワイヤー矯正はマウスピース矯正よりも、抜歯によりできたスペースを埋める平行移動(歯体移動)を得意としています。

なぜなら、ワイヤー矯正では「トルク」という根元に対するひねりの力を歯に加えることができるので、歯の根元も同時に動かすことができるからです。

歯の移動には「歯体移動」と「傾斜移動」の2種類が存在します。

「傾斜移動」は、歯の根元の位置を変えず歯の角度を変える移動方法で、「歯体移動」は歯を根元から移動させるものです。

通常歯に力を加えると、歯茎に隠れている部分(歯根)を回転の中心として、歯茎より上の部分の歯(歯冠)だけが動いてしまいます。

しかし、ワイヤー矯正はトルクによって歯の根元も動かすことができるので、歯体移動を得意とし、抜歯によるスペースも埋めることができるのです。

ワイヤー矯正である程度スペースを埋めたら、マウスピース矯正で角度や向きなどの調整を行うことができます。

ワイヤー矯正には、表側(唇側)矯正と裏側(舌側)矯正があります。

裏側矯正であれば、ワイヤー矯正の期間も目立たずに歯を動かすことができますので、マウスピース矯正との併用を検討してみてはいかがでしょうか。

例②:外科手術が必要な人

歯科矯正を行う際に外科手術が必要な人は、マウスピース矯正ができない可能性があります。

なぜなら、外科手術が必要な症例は、その多くが骨格性の異常であるため、マウスピース矯正だけでは歯並びをきれいにすることができないからです。

例えば、重度の上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、過蓋咬合(オーバーバイト)などは骨格性の異常によるものであることがあります。

骨格に異常がある場合は、外科手術をしなければ、歯を動かしても噛み合わせは改善することがないため、マウスピース矯正は適用できないことが多いので覚えてきましょう。

対応策:外科手術を行ってからのマウスピース矯正を検討する

外科手術が必要な場合でも、マウスピース矯正を諦める必要はありません。

外科手術により骨格を直したあとには、歯を動かす歯科矯正を行います。

骨格の異常がなくなれば、歯科矯正にマウスピース矯正を適用することができるので、「手術→マウスピース矯正」の流れで歯並びをきれいにすることも可能です。

また、顎の骨格異常を直すための外科手術「外科矯正」は保険適用である可能性もあるので、まずは歯科医師に相談をしてみましょう。

例③:重度の歯周病の人

矯正開始時に重度の歯周病を抱えている人は、マウスピース矯正を適用できません。

重度の歯周病だと歯の根元の骨が溶けて、歯が抜けてしまう可能性があるからです。

むし歯や歯周病は、口の中にいる細菌とその代謝物からなる歯垢(プラーク)が、時間を経て石灰化した歯石に変化し、その歯石の周りに細菌が集まり、毒素を出すことではじまります。

細菌は歯の周りに入り込み、歯と歯ぐきのすき間を広げながら、根元の骨(歯槽骨)や組織(歯根膜)を破壊していきます。

歯を根元で支えている歯槽骨と歯根膜が破壊されると、歯は不安定になり、最終的には抜けてしまうのです。

また、歯周病が骨にまで影響している状態では、歯を動かしても、新しい位置に固定することができません。

重度の歯周病を抱えている場合、基本的にはマウスピース矯正だけでなく、すべての矯正を始めることができません。

対応策:歯周病の治療後にマウスピース矯正を検討する

重度の歯周病を抱えており、マウスピース矯正ができない人は、まず歯周病の治療を終えてからマウスピース矯正を検討するようにしましょう。

歯周病の治療で、歯の根元の歯槽骨と歯根膜のダメージが回復すれば、歯を動かすことも新しい位置に固定することもできるようになるので、マウスピース矯正を始めることができます。

ただし注意すべきことがあります。

矯正開始時に歯周病の傾向があっても重症でなければ心配なく、矯正を進めることができるかというと、そうではありません。

マウスピース矯正中に虫歯や歯周病を悪化させてしまうと、結局矯正をいったんストップして治療を行わなくてはいけません。

根元が不安定で歯が安定しないというだけではなく、マウスピース矯正の再作製が必要になる可能性があるからです。

代表的なマウスピース矯正である、インビザラインなどでは、矯正開始時に歯型を採って、それをもとに理想的な歯並びにするまでに必要な数十枚のマウスピースを作製します。

しかし、矯正の途中で、歯周病の治療により歯を削ったり、詰め物をしたりすると歯の形が変わってしまうので、マウスピースがぴったりとはまらなくなってしまいます。

多くの場合は、矯正開始時に歯周病が進行している傾向が見られると、歯科医師が歯周病の治療を優先すると思います。

マウスピース矯正を適用するためにも、歯科医師と相談して、矯正前に歯周病の治療を検討してみましょう。

例④:複数のインプラントが入っている人

歯に複数のインプラントが入っている人は、マウスピース矯正ができません。

インプラントが入っている歯は動かすことができないからです。

歯は、歯槽骨という骨に埋まっています。しかし歯と歯槽骨は密接しているのではなく、歯根膜という弾力のある薄い膜が歯と歯槽骨の間でクッションの役割を果たしています。

矯正器具で歯に力を加えると、その力が歯根膜に伝わります。歯が動く側の歯根膜は縮み、反対側の歯根膜は延びます。そうすると、歯根膜が縮んだ側の歯槽骨は、歯根膜の厚みを保つために骨を溶かし、逆に伸びた側の歯槽骨は新たに骨を作り出します。

時間をかけて骨を溶かし再生することで歯が動くのが、矯正の仕組みです。

しかし、インプラントが入っている歯の根元には、天然歯の歯根膜の代わりに、人工歯根が顎の骨に直接固定されているため伸び縮みもなく、骨の溶解と再生が起こりません。

インプラントの数が多いほど動かせない範囲が広くなるため、インプラントが複数入っている人は、マウスピース矯正が適用できない可能性があります。

対応策:ワイヤー矯正を検討する

複数のインプラントが入っているためにマウスピース矯正ができない人は、ワイヤー矯正を検討しましょう。

ワイヤー矯正なら、インプラントが入っている歯を固定源として周りの歯を動かすことができるからです。

マウスピース矯正で全体矯正を行う場合、マウスピースですべての歯を覆って、すべての歯に力をかけることになります。

しかし、動かない歯が複数あると、周りの歯も動かないため、歯並びがきれいにならない可能性があります。

インプラントの個数や場所によって異なりますが、インプラントが複数入っている場合は、歯科医師から、インプラントを基点にして周りの歯を動かすワイヤー矯正を提案される場合もありますので、ぜひ検討してはいかがでしょうか。

まとめ

魅力的な歯科矯正方法ですが、マウスピース矯正はできない人がいます。

①多くの抜歯が必要な人

②外科手術が必要な人

③重度の歯周病の人

④複数のインプラントが入っている人

以上の方々は、マウスピース矯正をできない可能性がありますが、ワイヤー矯正との併用や、矯正前に手術や必要な治療を行うことで、マウスピース矯正をできるようになることがあります。

まずは、歯科医師と相談して、現状から理想の歯並びを手に入れるための適切な治療を決断するようにしましょう。

当サイトではマウスピース矯正が受けられるおすすめの医院を紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

この記事の監修者

経歴

2003年 日本歯科大学歯学部卒業 2003年~2007年 東京医科歯科大学 摂食機能保存学勤務 2007年~2019年 東京、埼玉、大阪にて歯科医院勤務 2019年~はぴねす歯科 石橋駅前クリニック勤務 20207月~はぴねす歯科 川西能勢口駅前クリニック院長就任

コメント

当院では毎月多くの患者様が矯正の相談に来られます。かみ合わせと審美性を考慮した目立ちにくいマウスピースでの矯正(インビザライン)、痛みの少ないティップエッジ方式の矯正治療、小児矯正(床矯正)を提供しています。

コラム一覧へ

この記事をシェアする

東京都のマウスピース矯正の歯医者を検索